そう答えると半分以上の方が「私自身が治験のモニターとして薬を投与されている」と勘違いします。
臨床開発モニターは治験を管理する側の仕事です。
「治験を管理する」と聞くとちょっと専門的な資格が必要そうな感じがしますよね。
ここでは、実際どんな人々が臨床開発モニターとして働いているのかをご紹介します。
臨床開発モニター(CRA)に必要な資格
臨床開発モニター(Clinical Research Associates; CRA)になるために資格が必要かというと、答えはNOです。
ぶっちゃけて言うとCRAは誰でもなれます。
「CRAになるために必要な資格」はありません。
ただし、CRAの仕事には、説明会の開催や医師・スタッフとの交渉、担当する臨床試験によっては英語での報告書作成などの業務もあります。
説明をするのが極端に苦手だったり、英語が大の苦手だと辛いと感じる仕事です。
ただ、新薬の開発に関わることができる、とてもやりがいのある仕事です。
CRAに多い資格
CRAになるために必要な資格はありませんが、CRAは医薬品に関する仕事をすることから、実際の現場では薬剤師、看護師、臨床検査技師などの資格を持っている方も多いです。
CRAを雇用する企業側も、そういった専門資格を持っている方には資格手当を付けたり、優遇する傾向にあります。
また、CRAにはMR(医薬品情報担当者)出身の方も多く、MRの資格保持者も多いです。
さらに、文系出身よりも理系出身(生命科学、生物学などバイオテクノロジー系)の方が多いのも特徴。
これは科学的背景を理解するのに役立つということもありますが、CRAの仕事に情報処理能力や論理的な思考が求められるためです。
※キムワイプ:実験用の繊細なティッシュみたいなもの。高価。
※プライマー:遺伝子を増やすためにくっつけるもの。
※電気泳動:たんぱく質や遺伝子の断片を分離する方法。
※大腸菌:遺伝子を作ってもらうために利用。汚くないけどちょっと臭う。
最近の医薬品開発では生物製剤(バイオ製剤)と呼ばれる抗体医薬が新薬のメインになりつつあります。
そのため理系学部の知識があるとバックグラウンドを理解しやすいですが、興味があれば文系出身者でもCRAになることには問題ありません。
CRAになってから取る資格
CRAになるために必要な資格はありませんが、なってから取る資格はあります。
それが「CRO協会認定CRA」という民間資格です。
CRO業界には「日本CRO協会」というCRO(Contract Research Organization; 医薬品開発受託機関)が設立した協会があり、年に2回CRAの認定試験を行っています。
※CRO(医薬品開発受託機関):臨床開発をサポートする専門の企業のこと。製薬会社から臨床試験(治験)を受託して行う。
この試験は日本CRO協会に所属している企業のCRAが受験できます。
CRAになったからといって必ずしも取る資格ではありませんが、入社後に取得が必須な会社もあります。
私も試験を受けて取得しました。
この資格は2年に1回更新があり、WEBテストを受けて合格すれば更新できます。
内容はGCP条例や薬機法に関するもので、初回の試験はそれなりに勉強が必要です。
CRAの仕事に応募するときにやっておくとよいこと
最後に、CRAのお仕事に興味を持たれた方のために、応募の際にすることや、ちょっとしたコツをお伝えしたいと思います。
それほど難しいことではないので頭の片隅にでも入れておいていただければ幸いです。
転職エージェントを利用する
初めから人材紹介会社の話で恐縮ですが、これは必須と言っても過言ではありません。
「え?普通に転職サイトから応募すればいいんじゃないの?」
そう思いますよね。
しかし、会社選びに失敗しないためにも、転職成功率を上げるためにも、転職エージェントは非常に有用です。
特に未経験からCRAやCRCを目指す方には強くおすすめします。
というのも、募集要項に「未経験可」と書いていても、実際は未経験採用を積極的に行っていない会社もあります。
(なら書かないでよと思いますよね…)
転職エージェントは本当に未経験でも積極採用を行っている案件を把握していることが多く、利用するメリットが大きいです。
実際に私もエージェントを利用することで、30歳の時に未経験でCRAになれました。
・リクルートエージェント(最終的にこちらにお世話になりました)
・パソナキャリア
・JACリクルートメント
もしくは既に知り合いがCROに勤務しているのであれば、紹介してもらうことも近道です。
既に社員である人間の「紹介」ということで信頼性が上がり、採用されやすくなります。
最近では外資系を専門に扱う転職エージェントも増えており、英語力を生かしたい方はそういったエージェントを活用すると外資に特化した転職活動ができます。
面接では明るく礼儀正しく
CRAは医師や病院関係者と密接にかかわるお仕事です。
基本的なことですが、社会人としての礼儀や、医師と面会しても失礼がないかというところはけっこうポイントです。
明るく礼儀正しくふるまい、誠実さを前面に出しましょう。
素直な受け答えが大切
臨床開発の仕事には嘘やごまかしがあってはなりません。
分からないことは素直に分からないと答えて大丈夫です。
変に取り繕うよりはまっすぐに答えましょう。
ただし、臨床開発モニターがどんな仕事かについては最低限知っておきたいところ。
エージェントの担当者から資料をもらうと対策しやすいですよ。
英語力があれば積極的にアピール
外資系の製薬企業はもちろん、CROでは近年外国企業の臨床試験を請け負うケースが増えています。
CRAにも英語力が求められており、社内の英語教育に力を入れている企業も多いです。
正直英語力に自信がない…という方でも、苦手意識がなければその旨を伝えるとよいでしょう。
CRAの仕事には大変なことも多いですが、新しい医薬品の開発を通じて患者さんのためになるというのは、大きなやりがいを感じる仕事です。
転職エージェントは活用すべき
私は3回目の転職でCRAになりました。その時に頼りになったのが転職エージェントです。
業界のことを詳しく教えてくれますし、在職中の転職活動だったので面接スケジュールをエージェントの方でうまく調整してもらえたのがとても助かりました。
無料なのでぜひ活用してみてください。
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