臨床開発モニター(CRA)の仕事

CRAの1日|残業は?どんなスケジュールで動いているの?

治験の裏ではたらく臨床開発モニター(CRA)。
あくまでいち例ですが、わたしたちが普段どんな風に過ごしているかを少しご紹介します。

CRAは出張が多い

治験の管理をする役目を持つCRA。
実際に治験を実施している病院やクリニックなどの医療機関へ訪問し、データの整合性を確認したり医師と協議したりする必要があります。

ひとつの治験において、実施していただいている医療機関は全国に散らばっていることが多いです。
また、1人のCRAが複数の医療機関を担当するため、あちこちに移動する機会が多くなります。

CRAは比較的出張が多い仕事といえます。

外勤日のスケジュール

では出張でCRAは何をしているのでしょう?
出張(通常「外勤」と呼んでいます)の目的は治験の時期により異なります。

治験の立ち上げ時期であれば、医師や医療機関側と「この治験が実施できるかどうか」の交渉をします。交渉がまとまれば治験を始めるための準備をするのですが、その準備でも説明のために何度か医療機関へ出向く必要があります。

治験が始まり、実際に患者さんが薬を使い始めると、今度はデータの確認のために医療機関を訪問します。
データはカルテだけでなく、同意書や治験の文書など、治験に関わるすべての記録を見ます。
この期間が一番長いです。

その他にも治験薬の搬入に立ち会ったり、新しく治験に参加するスタッフへの説明のため医療機関を訪問することもあります。

実際にどんな1日のスケジュールなのかを次からご紹介します。

移動

何はともあれまずは担当の医療機関へ移動します。

通常医療機関では9:30~10:00~17:00頃までいることが多いです。
そのため東京から遠方の医療機関に向かうときは、朝7時の飛行機に乗ったり、早朝の新幹線に乗ることもよくあります。

あまりに朝早い場合は前日に移動して前泊することもあります。
移動や宿泊はすべてCRAが自分で手配します。

モニタリング業務

医療機関に到着したら、担当のCRC(治験コーディネーター)さんに連絡してデータの確認を始めます。
このデータの確認のことをモニタリング業務といいます。

モニタリング業務によって決められた手順どおりに治験が行われているか、データの不整合がないかを確認し、疑問点があれば解決します。
同時に、患者さんの安全上に問題があるようなデータがないかもチェックします。

治験ではたくさんの文書が発生します。
これらの文書の抜け落ちや記載不備がないかを確認するのもCRAの役目です。

担当医師と面会

医療機関を訪問した際は、治験の担当医師と面会します。
モニタリングで気付いた疑義を問い合わせたり、患者さんの安全性が確保されていることを確認するためです。

また、治験の方法や治験薬の情報が新しくなれば、そのことを医師に説明します。
なお患者さんに提供する必要がある情報は、その後医師から患者さんへ伝達されます。

医師との面会は診療終了後や診療前に行われることが多いです。
待合室で資料を持って待っているスーツの人がいたらそれはCRAかもしれません。

移動

モニタリングと医師面会が終わったら、CRCさんとも今後のことなどを確認して業務終了です。

帰りの飛行機や新幹線ではほっと一息…つきたいところですが、モニタリングの結果によっては、すぐに上司に報告が必要な場合もあります。
待ち時間にも報告書の下書きをしたり、次の訪問の準備をしたり。

外勤時の残業

外勤では移動時間も結局仕事になることが多いです。
移動時間を勤務時間とみなすかどうかは会社によります。

移動時間も勤務時間とみなしてくれる会社では移動時間も仕事をしていましたが、移動時間は勤務外となる会社では寝たり別のことをしていました。
使い方は自分次第ですね。

外勤先が近いときは直行直帰で通常の勤務時間より早く帰れることもありました。

内勤日のスケジュール

続いて内勤日に会社でどんなことをしているかをご紹介します。

メールチェック

CRAの仕事をしているとやたらとたくさんメールがきます。
担当している医療機関からの問い合わせや連絡はもちろん、社内の連絡や、治験で使っている複数のシステムからも届きます。

多いときは半日くらいメールの確認をして終わることも。
フォルダの振り分けは必須です。

問い合わせ対応

会社にいる日でも当然患者さんは病院に来られます。
なので
「今〇〇番さん(治験では番号で呼びます)が来てるんですけど、△△薬併用しても大丈夫ですか?」
とか
「今日〇〇番さん来る日なんですけど、システムがうまくいかなくてどうしましょう?」
とか
けっこう色んな問い合わせが医療機関からきます。

これまた問い合わせ対応で1日が終わることもあります。

報告書の作成

CRAのメインの仕事に近いのがこの報告書の作成です。
CRAは医療機関を訪問して確認した結果をすべて報告書に記録する必要があります。

報告書の体裁は様々ですが、最近ではシステムを使うタイプが多いです。

報告書にはモニタリング結果を報告する「モニタリング報告書」、治験の手順から外れてしまったことを記録する「逸脱報告書」、一定の条件の元重篤と判断された有害事象(好ましくない事象)を報告する「重篤な有害事象に関する報告書」などがあります。

請求書の処理

治験にはお金がかかります。
とはいっても医療機関が製薬企業などの治験依頼者に請求するお金のことです。

製薬企業が負担する医療費や研究費などの請求書が毎月どんどん送られてきます。
その内容をチェックするのもCRAの仕事です。

ミーティング

ひとつの治験はひとつのプロジェクトとして行います。
そこでプロジェクト内の情報共有や問題解決を目的としたミーテイングが定期的に開かれます。

問題が多ければ多いほどミーティングがたくさん開催されている気がします。

内勤日の残業

どの仕事もそうだと思いますが、プロジェクトの立ち上げ時期は残業になることが多いです。
初めの2、3ヶ月は忙しい日々が続きます。

患者さんが治験に参加してくださり、医療機関の方も患者さんも治験に慣れ新しくしなければならないことが減るとルーティンワークになるので、問い合わせが減り残業も減ってきます。

私が勤めていた会社はどこもフレックスタイム制でしたので、早く帰れる日は15時や16時に退社していました。

デスクワークと外勤どちらが多い?

出張の多いCRAの仕事ですが、デスクワークの時間もかなり長いです。

治験書類の作成や社内研修、交通費の経費精算など報告書以外にもやることは多いですし、書類のチェックリストを作ったり内勤時にはひたすらパソコンに向かっています。

6、7年前までは飛び回るイメージのCRAでしたが、最近は医療機関への訪問回数に制限が設けられるなど、デスクワーク中心となっている気がします。
リモートSDV(医療機関に行かずにデータを確認する)の導入もあり外勤の回数は減少傾向にあります。

外勤の減少による経費削減によって医薬品の価格が抑えられるようになるといいですね。

PICK UP!

ウイルス、細菌、微粒子を99%カット
安心の国産マスク
耳が痛くない
「耳らくリラマスク」
25枚×2袋入り3200円(税抜)

医療系WEB運営者
サイト管理者
医療関係の業界で転職しつつ働くこと9年以上。 医療・製薬系のお仕事や治験についての情報を発信しています。
\ Follow me /