治験について

【治験の補償】対象となる場合や内容、賠償との違いは?

治験に参加した時に「何かあったらどうしよう」と不安に思うかもしれません。

安全に十分に配慮して行われている治験ですが、研究の側面もあり開発中の薬を使用するため、健康被害が生じる可能性は少なからずあります。

そんな時、治験に参加する被験者さんのために「補償」という制度があります。

ここではその「補償」についてご説明します。

健康被害に対する補償とは

治験の参加中・参加後にもし健康被害が発生してしまった場合、「補償(ほしょう)」を受けることができます。

しかし、この補償はすべての健康被害に適用されるわけではありません。

補償が適用される場合

補償は、治験との因果関係が認められる健康被害に対して適用され、次のようなことが特徴です。

  • 無過失責任によること
  • 被験者側に立証責任がないこと

治験自体と因果関係が認められない健康被害は対象となりません。
つまり、食事が原因の食中毒など明らかに他の原因が説明できる健康被害は補償の対象外です。

治験中に健康被害が生じたからと言って、治験依頼者が全て責任を負うというわけではありません。
また、治験薬の効果がなかったことについては原則対象外となります。

補償の内容について

補償の内容は大きく3つあり、「医療費」「医療手当」「補償金」です。

補償の内容は補償のガイドラインに即し、治験依頼者が治験ごとに内容を決定します。

医療費

治験による健康被害のための治療費において、健康保険などからの給付を除いた被験者(患者さん)の自己負担分が支払われます。

医療費には患者さんの治療に要した診療費・薬剤費が含まれます。

医療手当

医療手当は、病院往復の交通費、入院に伴う雑費を補填するものとして支払われます。

支払金額は「医薬品副作用被害救済制度」の給付額に準じて設定されています。

医薬品副作用被害救済制度とは、医薬品の副作用により患者さんが入院や死亡した際にPMDAという厚生労働省管轄の機関が救済給付を行う制度です。
一度目を通しておくのもいいかもしれません。

医薬品副作用被害救済制度(PMDA)

補償金

補償金は補償する側(製薬企業)があらかじめ一律・定額の補償金の支払を行うことを定めています。

その金額は、治験の参加を決めるときに渡される同意説明文書と一緒に提供される「健康被害への補償に関する文書」に書かれています。
同意説明文書と一体になっていたり、別冊で渡される場合もあります。

これもよく理解した得た上で治験への参加を決めていただくことになっています。
金額は医薬品副作用被害救済制度の給付金に準じることが多いです。

なお、治療を目的としない健康な成人を対象とした試験では「予防接種健康被害救済制度」および「労災保険制度」の給付額を参考にして補償金が設定されます。

製薬会社はちゃんと補償金を払えるの?

補償の対象となる内容が重篤な場合、大きな費用がかかる場合もあります。
そんなときでも製薬会社はきちんと補償の対応ができるのでしょうか?

そのことは治験の実施基準であるGCP省令第14条に規定されています。

GCP省令第14条
「治験の依頼をしようとする者は、あらかじめ、治験に係る被験者に生じた健康被害(受託者の業務により生じたものを含む。)の補償のために、保険その他の必要な措置を講じておかなければならない。」

「治験の依頼をしようとする者」とは主に製薬会社のことです(病院の医師が主導する治験もあります)。
治験を始める場合、製薬会社は「治験保険」に加入していますし、医師が主導する治験も治験保険に加入しています。

補償と賠償の違いは?

補償とは別に、「賠償」という制度もあります。

補償は治験自体を原因とする被験者さんの健康被害を救済するのに対し、賠償は治験依頼者や医療機関が法令に違反したことによって生じた不利益に対して損害を補填することです。

この場合、裁判などで賠償責任が認められると賠償金が支払われます。

治験でも救済給付の制度が整っている

このように治験では、もし治験で何らかの健康被害が生じた場合に備えて被験者さんを救済する制度が整っています。

もちろん何もないことが一番ですが、治験に参加するうえでこのような制度があることも知っておいていただければと思います。

補償の詳細については治験の参加可否を決める同意説明文書に記載されています。
不明な点はCRCさんなど病院の治験スタッフさんにお尋ねし、納得したうえで参加されてくださいね。

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医療関係の業界で転職しつつ働くこと9年以上。 医療・製薬系のお仕事や治験についての情報を発信しています。
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